2010-09-30

値動きの分布

平均と標準偏差

標準偏差は±2σの範囲内に95%程度が収まるとの事。実際標準偏差の範囲を示すチャートにボリンジャーバンドがありますが、肌間隔としては、±2σ線を越えるのは1/20以上ある様に感じます。

というわけで実際に出してみると

USD/JPY,M1 AUD/JPY,D1
終値が±2σに収まる割合 89.52% 88.28%
高値が+2σを収まる割合 88.04% 85.28%
安値が-2σを収まる割合 82.66% 87.95%

いずれも95%は超えませんね。ボリンジャーバンドは終値ベースで計算されるので、終値で見れば良いと思うのですが、確かに終値が一番近いと言えば近くなっています。

USD/JPYの1分足は標本データが多すぎてGoogle SpreadSheetsで計算できないと言われたので、一度標本数を約1万から約1千に減らしたのですが、大差なし。

1千 1万
終値 89.03 89.52
高値 88.24 88.04
安値 82.35 82.66

1分足だと足1万本で1週間程度なので今週のトレンドがたまたまそうなっているだけとも言えますが、通貨によって動きに差があるという事でしょうか。

短い時間足の標準偏差準拠率を調べれば、直近のボラリティの参考ぐらいにはなるかもしれません。

作ったスクリプト

必要なインディケーター

2010-09-29

時間帯別値動き

「朝スキャル」という単語を見かけました。そういうジャンル?というか手法で商品化されているEAも多種あるそうで。

そういえば相場では季節要因(季節、時間帯、曜日)などの要因で方向性に癖があるという話も実しやかに語られます。

試しに朝方の1時間でClose-Openの値動きがどんなものか出してみました。MT4のScriptです。

Output_Morning_SC.mq4

USD/JPY, 6時/9時(直近1年)

AUD/JPY, 6時/9時(直近10年)

正直これだけだとなんだかさっぱりですが、こんなデータ群から方向性を見いだせる人も居るんですね。

ただ、「朝スキャルもそろそろ寿命」という意見の中には、「みんながやっていると儲かるはずがない」といったものが。業者がその時間帯をねらってスプレッドを広げてくるなどといった、具体的な環境要因なら解りますが、システムトレードをしている人でも前述の様な実証されていない感想文で行動を左右する人が一定数いるもんなんですね。

2010-09-27

一日一インジケーター

なんていう企画を、余裕のある時にやってみたいです。某所で見かけた物をMetaTraderのインジケータ化してみました。

元ネタ

88 :Trader@Live![sage] 投稿日:2010-08-19 16:45:29 ID:DdVAltbf
さっきのポン円落下は確実にとれるケースだよね
5分足でMACD、スローストキャス、21MA全部が下向いた瞬間に売るだけ

作ったカスタムインジケーター

必要なカスタムインジケータ

メインチャートの下向きの赤い矢印が、このインジケータの表示です。MACDは見にくかったので白い線をHISTOGRAMからLINEに変えてますが、内容は変わっていないはずです。

確かにわりとイケテそうに見えるので、元ネタのスレタイ通り、10pipで利確するEA化もしてみたいですが、GBP/JPYだと、スプレッドが7、8pipなので、意外と幅があるかもしれません。

2010-09-21

インフレターゲットは冷房

インフレ率を「引き上げる」政策としてインフレターゲットが語られますが、あれは引き上げるのではなく、頭を抑えるもの、つまり気温上昇時における冷房なのではないかと思います

冷房(または暖房)は、設定された温度に室温を調整するものではありません。設定された温度以上(または以下)にならない様に、室温を抑制するものです。

室温が30、31、32度と上昇していく中で、設定温度を30度にすると30度を「上回った時」のみ、30度を遥かに下回る冷風を散布する事で、一時的に30度以下にさげます。そこで一時運転を停止すると、またすぐに30度を超えるので、30度を下回る冷風を散布します。これの繰り返しです。

設定が30度だからといって、30度の風を散布する訳ではありません。

もし、30度を超える夏日に、「暖房」を20度に設定して稼働したところで、暖房は室温を20度に引き下げたりはしません。暖房の役目は20度を「下回った時」に20度以上に引き上げる機能しかありません。20度を超えている場合、「なにもしない」以上の事はできません。

インフレターゲットはインフレ率が3、4、5%と上昇していく際に、ハイパーインフレが起きない様に、金利の引上げなどで金融の引き締めを行う物だと認識しています。だとするなら、インフレターゲットはインフレ率が「放っておいても上昇する」場面において、上昇を抑制する冷房的な機能しかないと考えるの妥当ではないでしょうか。

「放っておいても下降する」デフレ場面において、インフレターゲットを用いるのは、冬に冷房を用いるような物です。氷点下の厳冬期に、冷房を28度に設定しても、冷房は「なにもしない」以上の事はできません。

日銀はインフレ率の上昇が望まれる状況で、むしろ「デフレターゲット」ともとれる政策を行っている、という批判も最近見かけますが、もし今の日本が放っておいても下がる「冬」つまりデフレ期なら、暖房にあたるデフレターゲットを用いるのはむしろ真っ当な対策に思えます。

問題は金利引上げによるインフレ抑制は事実上無限に上げられるのに反して、金利低下によるデフレ抑制は0%以下にできない事ではないでしょうか。デフレターゲット、つまり暖房の性能が限定的なのが、現在の中央銀行による金融政策の限界なのではないかと思います。